グルメ日常ブログ

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【読んだ本】V字回復の経営

<コレ>

<内容>
タイトルから想像通り、経営破綻ぎりぎりの会社の回復劇。大手の「太陽産業」を舞台とし、経営コンサルである作者が対応した5社の実話がミックスされている。
コレ、そうそうこういうことあるある・・・みたいな暗澹たる気持ちで読み進むことができます笑

面白いのはミックス元の時間軸はみなほぼ同じ傾向(更に言うとゴーンが実施した日産自動車の改革とも一致)=社内改革の時間軸もほぼ参考になると考えて良い。
巻末エピローグには『不振事業の症状50』『改革を成功に導く為の要諦50』、診断テストに使えそう(雑誌の性格診断占いみたい)

■サマリ:結論人をどうやって動かすか。

【重要点】上辺だけの方法論(システムや構成をどうするかなど)を述べる指針書というよりは、最重要は組織論『人』、社員1人1人の認識変容とモチベーション上昇、その為に経営コンセプトやシステムを組み立てる。日本独特の「ダメ企業の特徴」と、その態度変容がわかるものなので外国のビジネス書には無い、実地的な内容(=よっぽど為になる)

また、改革実行者及びその周辺人物の必要な役割については自身のプロジェクトを組み立てる際の過不足チェックとなる。

■登場人物:やっぱり下記のロール(役割)は埋めないと成功しない

グループ会社社長の香川、主人公は関連会社の社長であった黒岩、改革のリーダーとして香川に抜擢される。協力者に戦略コンサルの五十嵐。
※複数このようなプロジェクトを進める話を最近読んでいるが、社内リーダー(=ロジカルで意思力が強い)、社外の協力者(=専門性があり、有能である)が中心となることがほぼ100%。
ということはやはりこの2名の役割が必須になるのだろう。

一方、日本企業は上記の組み立て(お膳立て)をするのが苦手な気がする。

原因は心理的ハードルに対して上記が正しいという概念があまりないからかな。
外部を入れることに抵抗がある(膨大なフィーを支払うことを含め)。更に大体中~大企業はコンサル導入に一度失敗しているので更にハードルが高くなっていることが多い。(失敗の原因は”高いフィーを払っているんだから任せていいはず”という前提から丸っとハウスルールがわからない外部に投げてうまくいかないタイプ、要は黒岩&香川のロールコンビで組み立てる概念がない)

■内容:まとめるとだいたいこんな方法

【改革時間軸】目標:2年で回復

①把握 2ヵ月

②基本方針作成 4ヵ月

③リリース・落とし込み 2ヵ月

④変革期 2ヵ月

⑤定着 2ヵ月

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①~⑤ 12ヵ月⇒2年目頭から徐々に黒転、2年で回復ゴール

【内訳内容】

①把握:上位レイヤーの範囲だけ把握するのではなく、末端までのキーマン・情勢を把握しないと原因究明ができない。”直接””少人数で”要は対部署や役職ではなく、個人に響くコミュニケーションから把握する必要がある。また併せてこの時点で改革プロジェクトメンバーのあぶり出しをする。

②基本方針作成:上記にてピックアップしたプロジェクトメンバーにて「問題点吐き出し」⇒「セグメント」⇒「ソリューションの導き出し」⇒「フロー組み立て」※こちらの内容に組織変更も入ってくる

③リリース・落とし込み:プロジェクトリーダーが”直接”各部署を巡業、上記人事含め説明、各理解をしてもらうよう落とし込みをする。第一段階にて部長責任者レベル、第二段階にて部署メンバー、段階を分けて説明。

④⑤変革期⇒定着期:新しい方法を把握したうえで、引継ぎや方法認知など各社員把握から定着まで。③~⑤までは本書に明記されてはいなかったが、大体こんな感じだろう。

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【改革コンセプト】「創る⇒作る⇒売る」=「開発⇒生産⇒販売」を精度良く、スムーズに効率的に行うことを念頭に置き、”HOW”を作っていく。

今起こっている問題を分析していくと、大きいが正義、効率的という心理的思い込みを覆す、「スモールイズビューティフル」論が出来上がる。

【改革9つのステップ】

1.期待のシナリオ

2.成り行きのシナリオ

3.切迫感

4.原因分析

5.シナリオ ⇔6.決断

7.現場への落とし込み

8.実行

9.成果の認知

ここで結構難しいのが3.切迫感と4.原因分析、7.現場への落とし込み。

企業の病気で「してもしなくても同じ(評価されない)」「どうせ潰れない」という気持ちが巣くっている中で切迫感を感じされるのはひとえに実行者のプレゼン力にかかっている(どれだけ自社が”ヤバい”のか)、また原因分析をするためには今までふわっと隠していた都合の悪い部分(正確な負債額や、各人のタスク)を日の元に晒さなければいけない為、それに対して抵抗勢力が出てくるのだ。現場への落とし込みについては”これでいいだろう”と高をくくっていると痛い目にあう。ここは難しいというよりは見落として痛い目に合いがちなので気を付けるべき点だろう。

以上より実行者メンバー、人々の態度変容、(上記内容による)反対社が出ないような本気のプロモーション及びフロー作成が特に不可欠である。

なんだか、読みながら現状や過去の回りの状況や人物にあてはめていると色々と想像できて面白い。おかれている環境が変わる度に読める本です。
どちらかというと個別のプロジェクト(改善、とかチャレンジ、トライアル)というよりは、ガサッと大きい企業や人数部署を「改革する」時や「これから組織全般をどうしていこう」みたいな大規模及びロングスパン、視点レイヤー最上位、みたいな役割でタメになると思います。